SAT SYSTEMについて 3

 

雄牛です。ご無沙汰しておりました。SAT SYSTEMのお話しの続きとなります。

 

これまでは、実際のオフセット印刷を踏まえず、こんな感じかなという感覚的にエイヤァ!という、無謀とも思われる、トライでした。ここでは、ようやく、自分たちで、実際に印刷してみて、感覚を確かなものにしていく作業に移ってゆきます。

 

最初に、テストをお願いしていた、リョービMHIグラフィックテクノロジー様(以下 RMGT様)に、試験機について、特に、インキの試験で使用できる単色小型機種を紹介していただきました。今まで、ミノグループのSさんが、感覚を頼りに手持ちローラーで印刷していました。ここでは、実機に近い機械がないかとお願いしました。RMGT様からは、520Xを勧めていただき、手頃な中古機情報をいただきました。

 

この際、硬化条件を考慮して、オフセット印刷とはいえ、低速が好ましいということで、低速で回転できるように、RMGT様から、資料をいただきながら、岐阜の印刷資機材機取り扱い店様で、レストアと回転速度の変更をお願いしました。520Xが、代理店様に到着したということでしたので、早速上司と確認に行きました。初対面の感想は、どうやって使っていたのだろうと思わせるくらい、カラフルにインキが付着しておりました。しかし、動かすことは、可能だという代理店さんの技術の方が仰るので、先ずはこれでということで、レストアをお願いしました。

 

やがて、整備と改良が加えられた520Xは、ミノグループ大和工場の資材事業部技術課の、印刷試験室へと納入されました。そして、代理店の技術の方から、ミノグループのSさん、大和グランドは、印刷担当者1名と私の3名が、オフセット印刷機を初めて扱うという特訓を受けました。どうにかこうにか、基本操作を学び、始めに付いてきた仕立てで、他社のインキを仕入れて、紙に印刷してみることになりました。ローラーについては、代理店さんに、事情をお話しして、UV印刷で、メジャーなローラーを付けてもらうという、安易な選択でした。その他に、ブランケットは、いろいろと説明を受けて、手触りと資料を比べながら、数種類を購入しました。

 

先ずは、一般の水なし用UVインキで、弊社のデザイナーが作った、テストパターンを印刷してみました。用紙は紙です。綺麗に印刷できて、感動しました。他社のインキなのに。はじめてオフセット印刷機を使うから感動してしまったのです。次に、ローラー洗浄、版洗浄をして、SATインキを印刷してみました。うまく転移できませんでした。当然、単色機なので、1色刷です。最初は黒からですが、以前、RMGT様で印刷してもらった時より、転移が少なく、表面もかなり荒れていました。

 

本機より、転移が少ないのは、ブランケットの様に感じました。ローラーや、版、ブランケットまでは、インキが充分に行き渡っているように見えました。ということで、ブランケットを幾つも交換しました。こんなことを繰り返して、ようやく、転移の良いブランケットがみつかり、更に、インキの色を変えて印刷すると、黒で良かったのに、マゼンタがダメ…とかの繰り返しで、ブランケットを変えたり、インキの物性を変更したりの繰り返しが続き、私共は、ミノグループさんの工場に、何日も通い続けました。

 

夜に会社を出発しては、1泊して、朝から工場でテストして、その日の夜帰社したり、時間に制限があるときは、日帰りでのテストだったりでした。唯一、息が抜ける時間は、宿泊の場合のみですが、郡上の温泉施設で、くつろげることでした。(宿泊施設に風呂が無いため)この試験期間は、水なし版の製版手段が、社内に無いため、節約方法として、インキ替えの場合は、捨て刷や、版洗浄剤での、手拭きでの洗浄を繰り返して使用していました。

 

これらの、版の扱いに付きましては、東レ様に、いろいろとアドバイスを頂いて実施していましたが、テストを頻繁に繰り返している状況を、東レ様に見て頂いたら、この状態で、印刷されているのは見たことが無いというくらい、1版を使い倒していました。(自分達では自覚が無かった)しかし、この時この状態で、地汚れしていないのは、ある意味、メリットと捉えました。

 

このようにテストを繰り返して、各色(KCMY)が印刷できるようになっていきました。当然、本命のポリカーボネートなどのプラスチック材料にも印刷できるようになっていきました。これらの印刷テストに平行して、ローラーの膨潤などを調べながら様子を見ていました。当初のローラーだけでは、適性があるのか不明なので、比較のため、別のメーカーのローラーに変更したりしました。すると、若干ではありましたが、色濃度が上がったようでしたが、いろいろな樹脂を投入しているうちに、次第に、表面にベタつきがでてきて、印刷機が停止するという事態が頻発するようになり、当初のローラーに戻すというトラブルも発生しました。

 

やがて、インキの仕様も数を経て、一度、本機で、印刷してみようということで、RMGT様に、事前連絡して、機械をSATインキに合わせるように仮で、仕立てや速度などをカスタマズしていただき、印刷することになりました。水なし版も、事前にデータをお渡しして、製版して、準備していただきました。先ずは、紙で、調子を見て、適正な状態が確認できたので、フィルムを流して、印刷してみました。結果は、以前とは異なり、インキはちゃんと転移して、重色もできて、柄が形成されました。また、LED-UV照射装置で、硬化も確認できました。

 

このような本機テストは、何度か繰り返されて、RMGT様にテスト機の設定をしていただき、私共も、東京ショールームへお邪魔したり、広島府中の本社へ伺ったりで、大変お世話になりました。また、試験機によるインキ改良と、更に基本色以外のインキも開発しながら、テストは繰り返し、行われました。やがて、SAT機とは、どのようにあるべきかを、RMGT様、ミノグループ様、大和グランドとで、話し合いがおこなわれるようになり、1号機がどうあるべきかが、練り合わされていくことになります。

 

今回はここまで。次回は、1号機の設定について記載する予定です。

 

雄牛でした

 


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